渋谷で1日カフェやポップアップストアを開きたいけれど、営業許可のルールが複雑でどこから手をつけていいか分からない、と感じていませんか。
この記事を読めば、渋谷エリアで法令(食品衛生法や賃貸借契約)を遵守した状態で飲食イベントや限定営業を開始できる場所を見つける、あるいは営業開始に必要な条件を判断できる状態になります。
渋谷で飲食店を貸切営業する前に知っておきたい営業許可の重要性
渋谷で飲食店を貸切で営業する場合、食品衛生法に基づく「飲食店営業許可」の取得が原則として必要です。
この許可は、提供する飲食物の安全性を確保し、公衆衛生を守るために設けられています。
無許可での営業は法的な罰則の対象となるだけでなく、食中毒などの事故が発生した際に重大な責任問題に発展するリスクを伴います。
安全・安心な店舗運営の基盤として、営業許可の正しい理解は不可欠です。
営業許可の重要性を理解した上で、次に具体的なリスクについて確認します。
無許可営業のリスクと罰則
飲食店営業許可を得ずに営業した場合、食品衛生法に基づき「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科される可能性があります。
これは、たとえ1日だけのイベントであっても適用される可能性がある重い罰則です。
また、渋谷区保健所による立ち入り調査で違反が発覚すれば、営業停止などの行政処分を受けることもあります。
法的な制裁に加え、食中毒事故などを起こした場合の社会的信用の失墜は計り知れません。
貸切・間借り・レンタルスペースで営業許可が必要なケース
不特定多数の客に対して、調理した飲食物を有料で提供する場合は、営業形態にかかわらず飲食店営業許可が必要です。
これには、店舗を一定期間借りる「間借り営業」や、時間単位でキッチンを借りる「レンタルスペース」での営業も含まれます。
営業許可は施設ごとに取得するため、利用するスペース自体が許可を得ているか、保健所に事前確認することが重要です。
許可のない施設で営利目的の提供活動を行うと、無許可営業とみなされます。

施設の許可だけでは不十分?貸切営業で問題になる「名義貸し」とは
レンタルスペースや既存の飲食店が営業許可を取得していても、それだけで誰でも自由に営業できるわけではありません。
食品衛生法では、許可を受けた営業者が衛生管理の全責任を負うと定められています。
もし許可名義人とは別の人が主体となって営業を行うと、それは「名義貸し」という違法行為にあたる可能性があります。
保健所は営業の実態を重視するため、施設の許可だけでなく、誰が責任者として営業するのかが問われます。
名義貸しが問題となる具体的なリスクについて、次に解説します。
営業者と許可名義が違うと「名義貸し」で違法になる可能性
食品衛生法上の営業許可は、許可申請書に記載された営業者(個人または法人)に対して与えられます。
この名義人が、その施設における衛生管理の責任を負います。
そのため、許可名義人ではない第三者が独立して仕入れから調理、販売までを行うと、責任の所在が曖昧になる「名義貸し」と判断される恐れがあります。
渋谷区の保健所から指導を受けたり、事故発生時に許可名義人が重い責任を問われたりする事態につながります。
自分の営業許可が新たに必要になる場合・ならない場合の違い
新たに自身の名義で営業許可を取得する必要があるのは、店舗オーナーとは独立した事業者として、自己の責任でメニュー開発、食材の仕入れ、販売、売上管理までを行う場合です。
一方、店舗の従業員やスタッフとして、オーナーの指揮監督のもとで調理や接客を行う場合は、既存の許可の範囲内と見なされ、新たな許可は不要です。
無許可営業を避けるためには、営業の実態がどちらに該当するのかを明確に区別しなくてはなりません。
物件オーナーとのトラブル回避!「転貸借(又貸し)」の契約上の注意点
飲食店の貸切営業では、渋谷区保健所からの営業許可という行政手続きだけでなく、物件オーナーとの民事上の契約も非常に重要です。
多くの賃貸借契約では、借りた物件を第三者に又貸しする「転貸借」を無断で行うことを禁止しています。
これに違反すると、契約解除や損害賠償請求といった深刻なトラブルに発展する可能性があります。
営業許可と契約の両面をクリアすることが、安心して営業するための鍵です。
転貸借の問題を理解した上で、契約書で確認すべき具体的なポイントを見ていきましょう。
賃貸借契約書にある「転貸禁止」条項の確認ポイント
確認すべきは、賃貸借契約書の「禁止事項」や「契約の解除」といった項目です。
そこに「賃借人は、賃貸人の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部または一部を第三者に転貸し、または賃借権を譲渡してはならない」といった趣旨の記載(転貸禁止条項)がないかを確認します。
この条項がある場合、オーナーの許可なくスペースを第三者に貸し出すことは契約違反となります。
まずは契約書を精査し、転貸に関するルールを正確に把握することが第一歩です。
事前にオーナーから「転貸承諾書」を取得しておくことの重要性
賃貸借契約で転貸が禁止されていても、物件オーナーの承諾があれば法的に問題なく第三者に貸し出すことが可能です。
しかし、口約束だけでは後々「言った、言わない」のトラブルになりかねません。
必ず、誰が、いつからいつまで、どのような目的で物件を使用するのかを明記した「転貸承諾書」を書面で取り交わしましょう。
この書類は、万が一のトラブルから身を守るだけでなく、保健所での手続きや警察署への届出の際に提出を求められる場合もあります。
渋谷区保健所での飲食店営業許可|申請から取得までの5ステップ
渋谷区で新たに飲食店営業許可を取得するには、定められた手順に沿って申請を進める必要があります。
単に書類を提出するだけでなく、施設の設計段階から保健所に相談し、基準に適合しているかを確認してもらうプロセスが重要です。
ここでは、申請から許可書交付までの具体的な流れを5つのステップに分けて解説します。
ステップ1:図面を持参して行う保健所への事前相談
施設の工事を開始する前に、必ず店舗の平面図や厨房設備の配置図などを持参し、渋谷区保健所の生活衛生課へ事前相談を行います。
この段階で、シンクの数や手洗い設備の配置、厨房の床材などが区の基準を満たしているかを確認してもらうことで、後の手戻りや無駄な費用を防ぐことができます。
渋谷区では、特に衛生設備の構造について細かな指導が入る場合があるため、図面段階でのチェックが極めて重要です。
具体的な計画を立てる上での最初のステップとして、まずは電話で予約を入れた上で、窓口へ足を運ぶようにしてください。
ステップ2:営業許可申請に必要な書類一覧
事前相談で計画の方向性が固まったら、以下の書類を準備して保健所に提出します。
営業許可申請書
営業設備の大要・配置図(2部)
食品衛生責任者の資格を証明する書類(手帳など)
法人の場合登記事項証明書
貯水槽や井戸水を使用する場合水質検査成績書
申請手数料(新規の場合、18,300円)
書類に不備がないよう、事前にリストを確認して準備を進めます。
ステップ3:保健所の担当者による施設の確認検査
申請書類が受理されると、保健所の担当者が実際に店舗を訪れ、施設が申請図面通りに施工されているか、また衛生基準を満たしているかを検査します。
検査日には、営業者または食品衛生責任者が立ち会う必要があります。
もし不備が見つかった場合は改善するよう指導され、改善後に再検査が行われます。
この検査に合格することが、許可取得の必須条件です。
ステップ4:営業許可書の交付と店内に掲示する義務
施設の確認検査に無事合格すると、後日「営業許可書」が交付されます。交付予定日は検査の際に知らされます。
交付された営業許可書に記載された営業許可事項については、お客様の見やすい場所に掲示することが食品衛生法により義務付けられています。
なお、令和3年5月31日以降は、個人情報保護の観点から、営業許可書そのものではなく、必要な情報が記載された書面を掲示することも認められています。
この許可書を受領し、営業許可事項を掲示することで、飲食店の営業を開始できます。
ステップ5:食品衛生責任者の資格取得と設置
飲食店を営業するには、施設ごとに必ず1名以上の食品衛生責任者を置かなければなりません。
食品衛生責任者になるには、都道府県などが行う講習会を受講する必要があります。
ただし、調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格を持っている場合は、講習会を受けずに資格者となることが可能です。
営業者は、従業員の中から責任者を選任するか、自らが資格を取得します。

すぐに営業可能!許可付きレンタルスペース・貸切飲食店を選ぶ際のチェックリスト
自分で営業許可を取得する手間を省き、すぐに営業を始めたい場合は、すでに飲食店営業許可を取得しているレンタルスペースや店舗を借りるのが効率的です。
しかし、許可があるというだけで安易に決めるのは危険です。
その施設が自分のやりたい営業形態やメニューに対応できる設備・衛生基準を満たしているか、以下のリストを参考に現地で必ず確認しましょう。
厨房設備の確認点:シンクの数や給湯設備の基準
飲食店営業許可の基準では、以前は洗浄とすすぎを分けるために2槽以上のシンクと給湯設備が必須とされていましたが、法改正によりこれらの要件は必須ではなくなりました。
しかし、保健所は引き続き従来の設備を推奨しているとされています。
内見の際には、シンクの数や給湯設備の有無を確認し、保健所の指導に従って必要な設備を検討することが重要です。
加えて、提供するメニューの調理に必要なコンロの口数、オーブンの有無、作業台の広さなどもチェックすることが重要です。
衛生管理の確認点:手洗い設備の場所と構造
従業員が使用する専用の手洗い設備が、厨房内または作業場に隣接した場所に設置されているかを確認します。
この手洗い設備は、蛇口がレバー式や自動水栓であること、手指の洗浄と消毒ができる設備(液体石鹸、消毒液、ペーパータオルなど)が備えられていることが基準です。
衛生管理の基本となる部分であるため、構造と場所を厳しくチェックしてください。
提供メニューの確認点:既存の許可範囲内で調理可能か
施設が取得している営業許可の種類を確認することが不可欠です。
「飲食店営業」の許可があれば多くのメニューを提供できますが、ケーキやパンを製造してテイクアウト販売する場合は「菓子製造業」、アイスクリームを製造する場合は「アイスクリーム類製造業」といった別の許可が必要になることがあります。
自分が提供したいメニューが、その施設の許可範囲内で合法的に調理・提供できるかを事前に必ず確認しましょう。
深夜0時以降の営業は要注意!深夜酒類提供飲食店営業の届出について
飲食店営業許可を取得しても、深夜0時を過ぎてお酒をメインに提供する営業を行う場合は、別途、店舗の所在地を管轄する警察署に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出する必要があります。
これは食品衛生法に基づく「許可」とは異なり、風俗営業適正化法に基づく「届出」です。
手続きの窓口が保健所ではなく警察署である点に注意が必要です。
届出が必要になる「主食」と「酒類」の判断基準
深夜0時以降の営業でも、お酒の提供がメインでなく、ラーメンや定食といった「主食」と認められる食事の提供が中心であれば、この届出は不要です。
届出が必要になるのは、バーや居酒屋のように、深夜帯の営業においてお酒の提供が主となる営業形態の場合です。
主食を提供しているかどうかは、メニュー構成や営業の実態から総合的に判断されます。
警察署への届出に必要な書類と手続きの流れ
届出は、営業を開始しようとする日の10日前までに、管轄の警察署の生活安全課へ行います。
主な必要書類は以下の通りです。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
営業の方法を記載した書類
店舗の平面図、求積図、照明・音響設備図
住民票の写し(個人の場合)または定款・登記事項証明書(法人の場合)
用途地域によっては営業が認められない場所もあるため、物件契約前に警察署へ事前相談することをおすすめします。
渋谷区での貸切営業と営業許可に関するよくある質問
ここでは、渋谷区で飲食店の貸切営業を検討している方から寄せられることが多い質問とその回答をまとめました。
渋谷で1日だけカフェをやりたいのですが、どんな場所なら営業許可なしでできますか?
営利目的で不特定多数に調理した飲食物を提供する場合、原則として営業許可が必要です。
無許可で可能なのは、調理行為を伴わない市販の包装済み食品を提供する場合や、友人同士などごく私的な集まりの範囲に限られます。
既存の飲食店の許可を借りて、自分で貸切営業するのは違法になりますか?
営業の実態と許可の名義人が異なる場合、「名義貸し」として違法になる可能性があります。
独立した事業者として営業するなら、自身で新たに許可を取得するか、許可名義人の指揮監督下で営業する必要があります。
渋谷区で飲食店の営業許可を申請する場合、どこに相談すればよいですか?
渋谷区保健所の生活衛生課が相談窓口です。
施設の工事を始める前に、必ず店舗の図面を持参して事前相談を行うことを推奨します。
これにより、基準に合わない設備投資をしてしまうリスクを防ぐことができます。
まとめ
渋谷区で飲食店の貸切営業を成功させるためには、食品衛生法に基づく「営業許可」の問題と、物件オーナーとの「賃貸借契約」における転貸の問題、この両面をクリアすることが不可欠です。
施設の許可があっても営業者が異なれば名義貸しに、オーナーの承諾がなければ無断転貸になるリスクがあります。
手続きを始める際は、まず渋谷区保健所や専門家へ相談し、法令と契約を遵守した上で計画を進めるようにしてください。



